アル=ルブウ・アル=ハーリーさばく(注)

(注 「アル=ルブウ・アル=ハーリー」は、アラビア語で「空っぽな一角」の意味で、日本では、ルブハリさばくと呼ばれています。)

砂漠(さばく)は自然の驚異(きょうい)の一つです。それはとても乾燥(かんそう)した大地で、昼間は激(はげ)しい暑さ、そして夜は厳(きび)しい寒さに見まわれます。暮らしに必要なものがないために、砂漠には、「死の谷」とか、「再(ふたた)び、もどれない場所」とか、また、「空っぽな一角」といったような名前がよくつけられています。それでも砂漠は、その静けさや黄金色に輝(かがや)く砂(すな)、広大さ、清らかな風、そして満天の星空の美しさゆえに、とても魅惑(みわく)的な存在です。

アル=ルブウ・アル=ハーリー砂漠(さばく)には、特別な味わいがあるとよく言われます。その魅力(みりょく)、美しさ、広大さ、そしてまだ明らかになっていない多くのナゾ、そして、そこにたどり着く困難(こんなん)さや危険(きけん)を思えば、ほかの砂漠とは比(くら)べ物にならない砂漠なのです。

アル=ルブウ・アル=ハーリー砂漠は、終わりのない砂(すな)の連なりであるとあなたは感じるでしょう。そこには、渦(うず)を巻(ま)きながら吹(ふ)く風によって奏(かな)でられる砂のささやきのほかには、夜の静けさを破(やぶ)るものは何もないのです。

アル=ルブウ・アル=ハーリー砂漠(さばく)は、サウジアラビア王国の4分の1の面積を占(し)めており、それは日本の面積のおよそ2倍の広さにあたり、世界で最も大きな砂漠です。
そのため、その広大な面積の中には、今もまだ人が行き着いていない場所があります。

アル=ルブウ・アル=ハーリー砂漠は、ひどく乾燥(かんそう)していて水がないので、人はほとんど住んでいません。それだけではなく、100年も前から一滴(いってき)の雨も降(ふ)っていない地域(ちいき)さえあるのです!!

また、水を保(たも)つ木々がほとんどないので熱がすぐに失われ、そのために、昼と夜との温度差が激(はげ)しいです。驚(おどろ)くことに、昼間の日かげでの気温は60度、夜は零度(れいど)、といったように、気温は激しく変わります。

アル=ルブウ・アル=ハーリー砂漠(さばく)には、ただただ砂(すな)しかなく、そこは、さえぎるものも何もない見わたす限(かぎ)り砂の世界です。
しかしながら、その砂の種類や色は、場所によってさまざまに異(こと)なります。砂の波形(風紋:ふうもん)も、三日月形だったり、長細かったり、星型だったり、複雑(ふくざつ)な形だったり、入り組んでいたり、とさまざまで、中にはわりに長く同じ波形を保っているところもあれば、つねに形が変わるところもあります。そのような砂の波形は、風の吹(ふ)く方向によって変わることが多く、その色や形の多様さによって、砂漠には魅惑(みわく)的な美しさや多くのナゾが生まれるのです。

また、砂丘(さきゅう)の色も、それぞれの岩の質(しつ)に応(おう)じてさまざまで、その高さは、330メートルをこえるものもあり、それはおよそ、東京タワーと同じ高さです。

厳(きび)しい気候(きこう)にもかかわらず、アル=ルブウ・アル=ハーリーには、砂漠で生きていくことができる砂漠性(さばくせい)の木々や動物がたくさん存在(そんざい)します。水がごく少ないため、そのような厳しい環境(かんきょう)に水なしで生きる動物は、クモやげっ歯類(ネズミの仲間)やヘビといった、実や木々にたくわえられるわずかばかりの水分を吸収(きゅうしゅう)することで、厳しい暮(く)らしに適応(てきおう)することができるものばかりなのです。

このような動物たちの多くは、昼間は眠(ねむ)っていて、夜になると食べ物を探(さが)しに出かけます。中には、地面の上で過(す)ごすのは、一生のごくわずかな時間に限(かぎ)られるような動物たちもいます。

アル=ルブウ・アル=ハーリー砂漠は、実際(じっさい)には「ハーリー(空っぽ)」なわけではありません。そのため、「アル=ルブウ・アル=ガーリー(注:アラビア語で「豊〈ゆた〉かな一角」の意味)」と呼びたがる人々もいるほどです。なぜならこの砂漠は、巨大な天然資源(しげん)が眠(ねむ)る地質であることで知られ、すでに発見されている資源もあれば、今も発見のために努力が続けられているものもあるからです。中でも、特に石油資源は有名で、この砂漠には世界最大の油田であるガワール油田があります。