サウディアラビア王国の国内観光

サウディアラビア王国の国内観光は、過去数年にわたって著しい成長を遂げました。政府と民間の各部門による観光プロジェクトや観光施設建設工事が次々と竣工し、王国西部と東部の両海岸の観光リゾート地区、ターイフ、バーハ、アシールなどの避暑地の観光開発が大幅に進められました。

サウディアラビア資本の国内観光事業の投資額は倍増し、数10億リヤールに達しました。観光関連機関や大手観光開発会社の観光プロジェクトによって、ホテル、ヴィラ、コンドミニアム、観光村、海岸リゾートハウス、遊園地、レジャーセンター、ショッピングセンターなど、サウディアラビア社会にふさわしい施設が数多く建設されました。

国内観光事業計画への投資は、過去5年間で150億リヤールを超えました。そのうち50億リヤールは、ホテル事業へ投資され、その結果、王国のホテル施設は3万7,500室に達し、観光村や海岸リゾートハウスは、3,500戸の住宅、50のレジャータウンと遊園地を有するまでになりました。

王国には370の旅行、観光会社があります。

ジェッダ商工会議所の調査によれば、サウディアラビア国民の国内・海外観光の総支出額は年間170億リヤールに達しています。しかし、国内観光はそのうちの27%しか占めていないのが現状です。こうした事情から、王国は、国内観光の開発事業を促進しています。

サウディアラビア王国の避暑地は、南西部にあります。主な避暑地は、ターイフ、バーハ、アシールなどで、王国内で最良の避暑地となっています。これらの避暑地は、海抜3,000メートルに位置し、夏の気候も穏やかで、自然の景観が素晴らしいという特徴をもっています。

また、これらの地域には段々畑があり、美味しい果物と野菜が生産されることでよく知られています。アブハー、バーハ、ターイフには地方空港がありますので、これら各地へは飛行機を利用することができます。道路網も完備していますので、山間、渓谷の景色を楽しみながらこれらの避暑地を訪れることができます。交通、水、電気、通信などのインフラ関連施設の整備も進んでおり、観光の要である公園や庭園ばかりでなく、多岐にわたる観光サービスが充実しています。

これら地域の夏季の気温は25度から30度で、さらに高地のバーハとアシールは、19度くらいです。一方、王国とアラビア湾岸諸国の都市では夏の気温が45度に達することがありますから、これらの避暑地の快適さは格別です。こうした事情から、王国内はもとより、近隣のアラビア湾岸諸国から数多くの観光客がこれら避暑地を訪れています。

バーハ商工会議所は、教育学部地理学科の協力を得て観光事業調査を実施しました。この調査によれば、1997年(イスラム暦1418年)のアシール州の避暑客は、131万2,500人に達し、また、避暑客の総支出額は22億6,900万リヤールにのぼっています。

ターイフは、サウディアラビア王国第一の避暑地です。アシール州とバーハ州は、互いに観光サービス施設を充実させ、避暑客を引き寄せようと競っています。

ターイフは、マッカから75キロメートルという立地条件に恵まれています。ターイフを避暑地として選んだ観光客は、カアバ聖殿への小巡礼を短時間のうちにおこなうことができるからです。巡礼季節以外の詣ではオムラ(小巡礼)と呼ばれていますが、このオムラは、カアバ聖殿周囲をまわり、サアーと呼ばれる、サフワとマルワの間を歩行と駆け足で3往復半する儀式によって構成されています。こうした礼拝儀式を終えると、一時間後には避暑地の宿へ戻ることができます。

ターイフから南へ約250キロの距離に、空気、自然景観ともに素晴らしいバーハ州があります。城砦などの歴史的遺跡が多く残されているこの州は、果物と野菜の農業生産でも知られています。バーハ州のバルジュラシは、同州を代表する商業都市で、バーハ市から12キロの距離にあります。

王国各地やアラビア湾岸諸国から同州を訪れる避暑客は、年間、数千人に達しています。観光関連設備、サービスも充実しており、ホテル、コンドミニアム、レストラン、レジャー施設などを利用することができます。

バーハ州の南方にはアシール州があります。サラワート山が同州の最高峰です。ターイフからバーハ州に至り、そこからアシール州の州都アブハーまで陸路で543キロで、この間には多くの町や村が散在しています。アシール州は、自然景観の美しさという大きな特徴をもっています。森林、樹林が同州全域を蔽い、岩の山肌に段々畑の農地が広がっています。農業は、夏と冬の降雨に頼っています。段々畑の農地では品質の良い果物、野菜、穀物が生産されています。

養蜂園を経営する農家も多く、このためバーハ州は蜂蜜の産地としても有名で、蜂蜜は他の州へ大量に出荷されています。

バーハ州の第2の町は、アブハーから15キロの距離に位置しているハミース・ムシャイトで、この町は州の商業の中心地の一つです。バーハ州のその他の町や村も商業が盛んで、州の生産物や輸入品の交易が活発におこなわれています。道路網は、南のジーザーン、南東のナジュラーンに通じる舗装道路があります。アブハーから首都リヤードへは、陸路ダワースィルとアフラージュ渓谷を抜けて到達しますが、その距離は1,200キロです。ジェッダへは、シャアール山間道路を利用します。11のトンネルと32の橋を通過し、さらに、紅海の海岸道路を経てジェッダに到着しますが、この道はジーザーンへと伸びています。

アシールの高い山を穿つトンネル建設工事には最先端の土木技術が駆使されました。この結果、ティハーマ平地は、アシール西部と南部と呼ぶこともできるようになり、アブハー市とその近隣市町村が道路網で結ばれ、容易に移動できるようになりました。トンネルの開通以前は、これらの高い山が障害となって、往来が大変だったのです。

「避暑地の花嫁」という異名を持つアシール州は多様な面を持っています。観光サービス施設は、近年、大幅に整備、拡張されました。ホテル、モーテル、ヴィラ、コンドミニアム、観光村、遊園地、レクレーション施設が利用でき、観光客は、ケーブルカーを利用することによって山の頂上から麓まで楽に移動できます。

アブハー市の中心街から2キロの距離にある観光センター(訪問客歓迎センター)は、同州の観光客が一度は訪れる価値のある観光スポットです。同センターには同州の地層岩石サンプルが展示され、詳しく説明されています。訪問客にも観光客にも一見に値する観光スポットです。

同州の重要観光スポットをご紹介しましょう。

  1. サウダ:アブハー市から西に約23キロ、海抜1万フィートに位置し、緑が山を蔽い、深い森林地帯が広がっています。サウダ山頂には、総面積883ヘクタールに達するアシール国立公園の最大規模の、設備が完備した庭園があります。サウダの自然の特色は、同州でもっとも降雨量が多いことである、森林と高い山の上に積雲と雨雲を仰ぎ見ることができます。
  2. カルアー:アブハーの南約30キロに位置している、深い樹林に蔽われた420ヘクタールの森林公園です。この森林公園からティハーマ地区の一端を眺望できます。そこから遥か彼方のティハーマの渓谷を眺望し、岩肌が鋭い亀裂を見せている自然の景観を楽しむことができます。
  3. ドルガン遊歩公園:アブハーの南東27キロに位置し、総面積440ヘクタールの広大な大地です。
  4. ムラーハ:アブハー=ハミース・ムシャイト街道から12キロの距離にあります。水が豊で、樹林と緑の草原が広がっています。
  5.  ハルバ:アブハーから約52キロの距離にあります。深い窪みに位置し、そこへ至る道は、山頂から階段を降りるような趣があります。観光サービスとしてケーブルカーが設置されています。
  6. ハズワの森:アブハー=ターイフ街道沿いにあります。5平方キロメートルの森林地帯で、ティハーマを眺望できます。
  7. ダナハーの滝:アブハーから110キロ、アブハー=ターイフ街道沿いのタナッウマの近くにあります。小さな湖から流れ落ちる滝で、緑の渓谷が前面に現れますが、宿泊やピクニックはできません。

これらの観光スポットの他に、公園や遊歩公園があり、遊園地施設、レストハウス、ファーストフードを提供する軽食レストラン、駐車場などの設備も完備しているばかりか、人工の滝もあります。

また、サウディアラビア王国の海岸と言えば、西は紅海、東はアラビア湾を望む海岸ですが、これらの地域は、いずれもサウディ国民、在留外国人、旅行客を引きつけてやまない観光名所です。

ジェッダは「紅海の花嫁」という別名を持つ都市で、北へ45キロ、南へ55キロ伸びる100キロの海岸道路があります。緑化が進み、噴水の景観を眺めることができ、サウディアラビアの自然環境が醸し出す心地よい美しさにあふれています。休憩所や海水浴場があり、海のスポーツや観光用貸小船で周遊などを楽しむことができます。子供のための遊び場、トイレ、電話ボックス、駐車場が整備されています。海岸道路(コルニッシュ)を過ぎるとほどなくしてホテル、ヴィラ、コンドミニアム、レストラン、ビュッフェ、遊園地、レクレーション施設、ショッピングセンター、公園、遊歩園などが目に入ってきます。

このような観光施設は、東部州のダンマームやコバルの40キロの海岸道路にも見ることができます。ダンマームの海岸道路にあるファナール島とコバルの海岸道路沿いにある三日月形人工湖は、いずれも素晴らしい観光スポットです。アラビア湾の海は透明度も高く、ダンマームとコバルの近くには半月海岸があります。ここにはパラソルやヨットの係留場があり、周遊を楽しむことができます。観光施設や競技場などがあり、会員専用と一般公開用に分かれています。

海岸には観光村やレジャーランドがあります。コバルの南にはアズィーズィーア海岸があります。海に沈む夕日が素晴らしい海岸で、ビーチハウス、海水浴場があり、海のスポーツを満喫することができます。

工業都市ジュベイルの海岸には砂浜が広がり、類いまれな風景と景観を作り出しています。公園、遊歩園、サンゴ礁に囲まれた島々があります。

サウディアラビア王国の海岸には観光、レジャー、レクレーション施設が充実した観光リゾートが数多くあります。数多くの観光客はそこに憩い、楽しみ、リラックスすることでしょう。

毎年夏、学校や大学の夏休みが始まるとともに、王国の観光地域の観光促進委員会は、文化、レクレーションプログラムを実施しています。国民には、王国の豊な自然に恵まれた避暑地や観光リゾート地で休暇を過ごすよう宣伝活動を展開すると同時に、海外旅行は疲れるばかりか、費用も嵩む点をアピールしています。このような宣伝が効を奏して、国内観光旅行を選択するサウディアラビア国民がしだいに増えています。