サウディアラビア王国の運輸、交通、通信


 運輸、交通、通信分野は、いかなる国にとっても生活の大動脈であると言えます。したがって、この分野における基盤整備の達成度は、その国の進歩を計る指標にほかなりません。

サウディアラビア王国の国土は、アラビア半島のほとんどの地域を占めており、起伏が激しい地勢が連続していることから、運輸、交通、通信網の整備は、きわめて重要です。とりわけ、様々な産業の開発が運輸、交通、通信網の充実度により大きく左右されることから、この分野は産業の重要な基盤と言うことができます。

その重要性は、建国の父アブドルアジーズ国王の治世においてもすでに認識されており、その整備が重視されていました。

王国の初期の時代においては、例えば、1950年の時点における電話回線数は、政府関係機関と個人を合わせて約8,000回線でした。また、王国内、王国と外国を結ぶ無線局が建設されました。

鉄道については、町や村を通過して東部地区のダンマームと首都リヤードを結ぶ全長570キロメートルに及ぶ建設工事が1951年に完了しました。

1952年には交通省が創設され、同省は、郵便、電信、電話、道路、鉄道、港湾の監督局の役割を担っていました。これらの分野は、細分化され各々の行政局が担当することになりました。同省が創設されて間もない頃、アスファルト道路は、全長237キロメートルに達していただけでした。

これらの分野のサービスは、急速に拡大し、交通省の仕事が増大したことから、それを軽減する措置として、1975年、郵便・電信・電話省が創設されました。また、1976年には鉄道公団が創設されました。さらに同年、港湾公団が創設され、王国の港湾の運営、管理をすることになりました。

港湾の混雑が常態になったことから、開発計画にのっとった巨大プロジェクトが実施され、政府は、港湾の拡張、船荷の積み降ろし用の最新設備のある新しい埠頭の建設を急ピッチで進めました。工事は記録的な速さで完了し、船舶がサウディアラビアの港に入れず、待機を余儀なくされる状況は解消されました。

紅海とアラビア湾には王国の8つの港があります。それらは、ジェッダ、ダンマーム、ジュベイル、ヤンブー、ジーザーン、ダバの港と、ジュベイルとヤンブーの工業港です。

サウディアラビアの港湾の埠頭数は、1975年の時点では27でしたが、1998年には183に達しました。そのうち45は、工業港であるジュベイルとヤンブーの港の埠頭です。

商業港の貨物取扱量は、1970年には180万トンでしたが、1996年には2,690万トンにまで増加しました。

工業港の貨物取扱量は、1982年は770万トンでしたが、1996年には5,250万トンに増大しました。

商業港と工業港の1998年の石油を除く貨物取扱量は、総計9,100万トンに達しました。その内訳は、輸出が約6,300万トン、輸入が約2,800万トンでした。

道路

1970年に始まった開発5ヵ年計画において、政府は、サウディアラビア国内の道路網、ならびに同国と近隣諸国を結ぶ道路網の建設、開通に重点を置きました。

1998年末には王国の高速道路、複車線道路、単車線道路を含めた道路網の全長は、約4万5,200キロメートルに達し、舗装された農業道路は、10万キロメートルに達しました。ちなみに、1970年の時点においては、8,000キロメートルの単車線道路と3,500キロメートルの農業道路しかありませんでした。

この時期に実施された道路、地下道、橋の建設プロジェクトに費やされた総額は約1,340億リヤールに達しました。

最新の国際規格に従って建設された主要な複車線高速道は下記の通りです。

マッカ=マディーナ道路 全長 421キロメートル
ジェッダ=マッカ道路 全長 60キロメートル
リヤード=ターイフ道路 全長 752キロメートル
ダンマーム=アブーハドリーヤ道路 全長 161キロメートル
リヤード=スデイル=アル・カシーム道路 全長 317キロメートル
リヤード=ダンマーム道路 全長 383キロメートル
アル・カシーム高速道路網 全長 141.7キロメートル

山間道路

王国南西部のサラワート山系の自然と岩盤の起伏の激しい山々は、ほぼ500キロメートルにわたり続いており、その標高は1,500メートルにも達しています。

交通省は、この激しい自然を克服し、頂上と山麓を結ぶ道路と、山麓と紅海海岸よりのティハーマ平原を結ぶ道路建設調査を実施しました。渓谷にアスファルト道路、橋梁、地下道を建設し、高山を穿ってトンネルを建設する工事が可能であるとの調査結果が出ました。そして、この道路は山間道路と命名されたのです。

1977年、最初の山間道路であるティハーマ山間道路の建設が開始されました。交通省は、最新の土木工学技術を駆使することにより、その他の4つの山間道路(シェアール山間道路、アル・ジュワ山間道路、バーハ山間道路、ディルア山間道路)も建設することができました。これらの山間道路は貨物運送や、一般自動車交通に利用されています。

これらの山間道路が建設されたことにより、国民は都市部や山頂の村々からティハーマ平原へ短時間で往復することができるようになりました。山頂からティハーマ平原までの時間は、山間道路開通以前には丸一日、あるいは、それ以上かかっていましたが、それが一時間以内に短縮されたのです。

環状道路

交通省は、王国の主要都市の周囲に環状道路を建設する計画を採用しました。これは地域間と、市街地と郊外間の運輸、交通の流れをスムーズにするためのもので、橋梁、高架式交差点、地下道だけでなく、道路サービス業務、照明灯、街路樹、安全強化設備も含めた包括的な計画でした。

環状道路の主なものには、全長63.2キロメートルのリヤード道路、全長27.1キロメートルのマッカ道路、全長85キロメートルブライダ道路、全長103.6キロメートルのジェッダ道路(空港北路)および全長108キロメートルの東部州の都市間を結ぶ道路があります。

環状道路は市街地と郊外間の交通の混雑を緩和し、交通事故の減少、大気汚染の低減に寄与しています。

サウディアラビア王国―バハレーン国間のコーズウェイ

サウディアラビア王国とバハレーン間を結ぶコーズウェイは、他に比肩するものがないとっても過言ではありません。

二聖モスクの守護者ファハド・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード国王と故イーサ・ビン・サルマーン・アール・ハリーファ・バハレーン首長により、1986年11月(イスラム暦1407年ラビーウルアッワル月24日)、総工費27億6,900万リヤールをつぎ込んだ全長25キロメートルのサウディアラビア王国―バハレーン間コーズウェイが開通しました。この海上道路によって、両国間の運輸、交易活動が活性化しました。

航空

サウディアラビア航空は、年間1,300万人の乗客を運んでいます。また、国内線と国際線の貨物取扱総量は27万トンに達しています。国内線は25の国内空港を結び、国際線は、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカ地域の58の都市に就航しています。サウディアラビア航空は国際航空運送協会(IATA)に加盟しており、世界の航空会社265社のうち、乗客輸送では第27位、貨物輸送では第22位にランクされています。

サウディアラビア航空は、1995年11月、設立50周年を迎えました。航空機保有数は114機に達し、中東地域最大の航空会社になっています。機種としては、ボーイング747、トライスター、エアバスなどがあります。社員数は約2万4,000人で、正操縦士と副操縦士は、合計1,000人を越えています。このほど、世界でも最新鋭の旅客機と貨物輸送機53機を導入しました。2000年末までにはさらに8機の導入が予定されており、合計61機の最新鋭機が加わることになります。

これは、スルターン・ビン・アブドルアジーズ第二副首相兼国防・航空相兼監察長官兼民間航空局総裁が締結した導入契約にもとづくものです。

国防・航空省の管轄機関である民間航空局が、国内空港の運営、保守、建設などの事業を監督しています。

国内には25の空港があり、そのうち、リヤード、ジェッダ、ダハラーンの3空港は国際空港になっています。王国の空港利用旅客数は年間約2,500万人に達しています。

陸上輸送

交通省は陸上輸送の計画立案・管理ならびに、その他輸送手段との調整の任務を担っています。同省はまた、航空分野を除く王国の輸送業務に関する各種免許の交付ならびに法整備に責任を有しています。輸送分野の免許は、サウディアラビア国籍の輸送業者に制限されており、陸上貨物・旅客運送の免許を交付されたサウディアラビアの会社、団体数は2,453に達しています。この免許のうち617件は、都市部のタクシー(リムジン)サービスに、368件は小型レンタカー会社に各々交付されています。サウディアラビアのトラック台数は、8万8,174台に達しています。

鉄道輸送の分野では、鉄道公団が、リヤード―ダンマーム間を、一日当たり6便、片道3便の旅客便を運行しています。年間の旅客数は50万人、多種にわたる貨物の取扱量は、200万トンに達しています。

公共バス運送

サウディアラビア輸送会社は、1979年に設立されました。市内、都市間、ならびに国際旅客の公共輸送サービスが独占的に許可されています。

サウディ政府は、10億リヤールを出資し、同社の30%の株式を保有しています。同社は大型から小型まで異なる車種のバス2,600台を保有しています。

同社はまた、大巡礼、小巡礼の巡礼者たちの輸送サービスをきめ細かにおこなっています。同社は、この聖なる業務を果たすためマッカとマディーナの二聖地において毎年1,000台を越えるバスを配備してサービスに務めています。

また、サウディアラビアの諸都市とエジプト、ヨルダン、シリア、アラブ首長国連邦、カタル、クウェート、バハレーン間の国際輸送のサービスもおこなっています。

海上輸送

サウディアラビア王国は、国際海上輸送の分野では中東地域でもっとも活発に業務をおこなっています。サウディ籍の船舶数は175隻を越え、海上輸送業務に従事するサウディアラビア王国の海運会社と団対数は114社に達しています。

サウディ政府は、サウディ海運会社の株式を25%保有しています。また、アラビア原油海上輸送会社に他のアラブ9カ国と共に、また、アラブ連合海運社にはアラビア湾岸諸国と共に各々資本参加しています。

通信サービス

最先端技術による通信網が広大な王国全土に張りめぐらされているので、都市部ばかりでなく、農村部においても郵便、電話、テレックスの最新のサービスを利用することができます。下記の数字は、この分野における1998年末までの成果を示しています。

  • 王国の通信手段は多様化しており、電話回線数は300万回線に達していますが、このうち携帯電話の回線数が100万回線を占めています。
  • 電話、郵便サービスは、6,000の都市部と農村部で利用されています。
  • 公衆電話数は1万5,000に達しており、テレホンカードで利用できます。
  • サウディアラビアと国際電話通信ができる国は200カ国に達しています。テレックス通信の能力は3万回線です。
  • 王国では1991年(イスラム暦1412年)からポケットベルのサービスも開始され、利用者数は64万5,000人に達しています。
  • 電報局は272局に達しています。
  • 郵便局は、中央局が458局、支局が185局、国際エクスプレスメール局が79局あります。
  • 私書箱数は、約33万1,000箱です。
  • 郵便・電信・電話省は、1994年上半期に、王国内の通信網拡大工事を契約しました。工事期間は7年で、150万の普通回線の増加が見込まれています。

携帯電話サービスは、1996年前半、加入者にそれぞれの回線が振り当てられ開始されました。携帯電話回線数は、現在、100万回線を越えています。

王国内の電話サービスの運営と管理にあたるサウディ通信会社は、2000年初頭、100万回線の設置工事契約を締結しました。