二聖モスクの国 サウディアラビア

聖地の守護者としてのサウディアラビア国王

サウディアラビア王国の長であるアブドッラー国王が率いる政府と、サウディアラビアの国民たちにとって、聖地であるマッカ(通称メッカ)の聖モスクと、同じく聖地であるマディーナの預言者モスクを守護すること、さらには世界中から訪れる巡礼者を受け入れ彼らに奉仕することは非常に大きな栄誉となっています。

サウディアラビア王国は、そのような栄誉にあずかる一方、二聖モスクの拡張工事に継続的な努力をしてきました。巡礼者の増加にともない礼拝スペースの確保が緊急の課題となり、これまでに拡張計画が順次実施され、これには多くの予算が費やしました。

聖地マッカと聖モスク

サウディアラビア王国の西部、ヒジャーズ地方に聖地マッカがあります。この聖地マッカには様々な別名がありますが、その中でも有名なのがウンム・アル・クラー(町々の母)という名称です。

マッカはジェッダ市から東に73キロメートルのところ(海抜277メートルの標高)に位置しています。町自体は谷間にあり、岩の多い地形です。乾燥した気候で、しばしば大変な暑さに見舞われる地域ですが、ザムザムの泉の恩恵によって人々はその喉の渇きを癒しています。

聖地メッカの歴史は非常に古く、預言者イブラーヒームとその息子イスマーイールの逸話が特に有名です。イブラーヒームの妻ハージャルが、のどの渇きに苦しむ息子イスマーイールのために水をもとめてさまよっていたところ、天使がおりたち足元からザムザムの泉を湧き出させた、というこの故事にちなんで、ムスリムたちは巡礼の際にサアイという儀礼を行うことになっています。

巡礼時にサアイを行う人々

ザムザムの泉は、その後長らく使われずにいましたが、預言者ムハンマドの祖父であるアブドルムッタリブが再び掘り起こし、その水を人々に与えるようになりました。現在もこの泉はこんこんと湧き出しており、礼拝者そして巡礼者たちが利用しています。

聖地マッカには、聖モスク(アル・ハラーム・モスク)(Al-Masjid Al-Haraam)があります。この中心部には立方体の形をしたカアバがあります。このカアバの建設についてはクルアーンに述べられています。アッラーの命を受けたイブラーヒームが息子であるイスマーイールの助けを借りて建立したのがその始まりであったとされています。

マッカの聖モスク~中央にあるのがカアバ

カアバの再建や拡張は、この後も何度か続きました。そして現代になると、巡礼者の数が増加したという理由から、約2倍の面積・収容能力を持つに至る拡張工事がなされることになりました。二聖モスクの拡張工事案は西暦1934年に決定され、その後何期かにわけて工事が行われてきました。とくにファハド国王(当時)の治世には総額700億サウディリヤール(1サウジリヤール=31~35日本円:為替相場の変動によって差異が出てきます)を投じた大々的な改修が実施されました。

最近のマッカの聖モスク拡張工事によって、床面積の拡張、収容人数の増大、門の増設、エスカレーターの増設、照明設備の向上、空調(冷房)設備の強化、発電設備の増強、建物内放送設備の整備などが完了しました。

聖地マディーナと預言者モスク

聖地マディーナは、預言者ムハンマドとその教友たちが移住した先として知られています。マディーナはサウディアラビア王国の西部にあり、もうひとつの聖地であるマッカの北に位置しています。古くはヤスリブと呼ばれていましたが、預言者らの移住(ヒジュラ)後、マディーナ(注:町、都市の意味。「預言者もしくは使徒の町」という言葉が略されたといわれています)という名で知られるようになりました。

マディーナには預言者モスクがあり、マッカの聖モスク同様拡張工事が行われてきました。預言者モスクでは、新たなる建物拡張、屋上礼拝スペースの確保、門の新設、エスカレーターの増設、ミナレットの増設、開閉式ドームの設置が完了。礼拝者、訪問者を受け入れる体制が更に整いました。

巡礼者たちに対する奉仕

光にみちあふれる預言者モスク

二聖モスクを守護する使命を帯びているサウディアラビア王国は、毎年ハッジの季節に多くの巡礼客を迎えるという栄誉に恵まれています。これ以外にもウムラという小巡礼がラマダーン月などを中心に年間を通じて行われていますが、ヒジュラ暦のズ・ル・ヒッジャ月に行われるハッジ(大巡礼)は中でも最大の行事となっています。

宗教儀礼を行えるようあらゆるサービスを提供するだけでなく、暑い中巡礼を行う信徒たちの安全と健康を保つ努力は国を挙げてなされています。また、ハッジの際には犠牲祭があり、このときに食される家畜の肉はイスラーム開発銀行を通じて巡礼客のみなさんに配布されています。

今年もそろそろハッジの季節が近づいてきました。サウディアラビア王国のテレビでは終日、また欧米や日本の放送局でも巡礼の様子がときおり放映されます。もしかしたら、皆さんもすでにハッジの中継などはご覧になったことがあるかもしれません。