二聖モスクの拡張と改築

  • サウディアラビア王国の聖地への巡礼者と訪問者は増加の一途を辿っています。このため、二聖モスクの守護者ファハド・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード国王は、マッカとマディーナの2つのモスクの敷地の拡張と増築工事を実施しています。
  • 王国が過去10年間に、マッカの聖モスクとマディーナの預言者モスクの拡張と改築、周辺地区開発、道路網の整備、地下道の建設、橋の架設工事、その他関連施設の建設に投入した総額は、700億リヤールに達しました。

二聖モスクであるマッカの聖なるモスクとマディーナの預言者モスクおよび、その他聖地の大規模な拡張、改築工事が実施されてきました。それは、ファハド・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード国王が保持する二聖モスクの守護者という称号の本来の意味に忠実であろうとする純粋な心情の吐露だと言えるでしょう。

この称号がアッラーの祝福や栄光、さらには、サウディアラビア王国の政体の宗教的な側面を表すものだと理解する人がいるかもしれませんが、そうした理解は間違っています。本来の意味は、あくまでも二聖モスクの保全と維持管理の務めを果たすことにあります。財を投じた結果、施設が豪華になり、質の高いものになったとしても、それは、務めが完了したことを意味しているわけではありません。イスラムの聖地、サウディアラビア王国を栄光ある国にたらしめているイスラム教徒の聖なる場所であるアッラーの家の保全、関連施設の整備の充実、巡礼月の大巡礼の人々や巡礼月以外の小巡礼の人々、二聖モスクの訪問者に対して旅の便宜をはかるサービスは、どれほど費用がかかろうとも、奉仕の精神に徹して心を砕かなければなりません。

二聖モスクへの巡礼者や訪問者に対して多岐にわたるきめ細かな奉仕は、栄えある務めなのです。二聖モスクの守護者は、この栄えある務めを誠心誠意、過不足なく執りおこなってきました。イスラム世界の諸国民とその他の国々のイスラム教徒はこのことを知り、二聖モスクの守護者に感謝し、信頼を寄せるようになりました。

サウディアラビアは、精神と物質の両面においてイスラムに歴史的な責務を担っています。二聖モスクの拡張整備と巡礼者へのサービスは、その一つの表現であると言えましょう。

王国建国の父であるアブドルアジーズ国王は、二聖モスクの拡張、整備と巡礼者への奉仕に心を砕き、その精神を継承した彼の息子の歴代の国王もまた、父と同じように尽力してきました。これは王国の国是であり、この国是は、クルアーンとスンナに根ざしたものなのです。

信仰の篤い先人たちは、この道をしっかりと歩み、王国の指導者は、それを遵守してきました。サウディアラビア国民は、強い信仰心を持っています。それは、社会から信仰心が弱まった数世紀の後に回復されたものだったのです。

王国では安全が保障され、治安が行き届いています。また、王国の各地は、総合的な発展を遂げました。聖地の保全と整備には、これでよいという限度はありません。この事業が継続して実施されているのはこのためにほかなりませんが、これらすべては、イスラムを建国の礎としたことから生み出された成果なのです。

イスラム教徒は、二聖モスクの守護者が二聖モスクばかりか、エルサレムのアクサー・モスクの保全と維持に尽力していることを忘れることはないでしょう。アクサー・モスクは、初期のイスラム教徒の最初のキブラ(礼拝の方向)となったモスクであり、イスラム教徒にとって第三の聖なるモスクなのです。

二聖モスクの拡張

二聖モスクの拡張プロジェクトは、1934年(イスラム暦1354年)に決定されました。それは、サウディアラビア王国の基礎が築かれてから数年後のことでした。アブドルアジーズ国王は、マッカの聖モスクの大規模な修復と改築工事を命じたのです。

1948年(イスラム暦1368年)、マディーナの預言者モスクでの礼拝者が増え、収容能力が不足し始めたため、国王は、預言者モスクの拡張を決意し、それを公表しました。この拡張、増改築工事は、1951年(イスラム暦1370年)に着工され、4年後の1955年(イスラム暦1375年)に完了しました。預言者モスクは、拡張工事によってそれまでの敷地に新たに1万2,271平方メートルが加えられ、その総面積は、1万6,500平方メートルに達しました。

預言者モスクの拡張工事が施工されている時期にサウード国王は、マッカの聖モスクの大規模拡張工事を命じました。この工事は、イスラム暦1375年、1379年、1381年の3期にわたって実施されました。拡張面積は15万1,000平方メートルで、これによりモスクの総面積は、19万3,000平方メートルに達しました。

二聖モスクの大規模な改良整備工事は、ファイサル国王、ハーリド国王の治世にも続けられましたが、歴史上最大規模の改良整備工事が実施されたのは、二聖モスクの守護者ファハド・ビン・アブドルアジーズ国王の治世においてでした。費用総額は700億リヤールを越えました。これらの費用には、地権者からの土地買収費用、二聖モスクの周辺地区開発工事、交通網の整備、地下道の建設、架橋工事、その他の関連施設の建設工事なども含まれています。こうした事業によって、増大する大巡礼者や小巡礼者ばかりでなく、通常の訪問者を受け入れる能力が高まったのです。

 マッカの聖モスクの拡張工事

二聖モスクの守護者は、1989年(イスラム暦1409年サファル月2日)、マッカの聖モスク拡張プロジェクトの礎石を据えました。

このプロジェクトの概要は下記の通りです。

  1. 聖モスク西側部分の増新築工事。増築の床総面積は、7万6,000平方メートルに達し、地下、一階、二階、屋上に分かれ、約15万2,000人の礼拝者を収容することができます。
  2. 建物以外の礼拝敷地の整備によって、礼拝者収容能力は、19万人、総面積は、8万5,800平方メートルに達しました。その結果、聖モスクの総面積は、35万6,000平方メートル、通常時における礼拝者収容能力は、77万3,000人に達しました。
    大巡礼の月や断食月(ラマダーン月)には礼拝者数は100万人を越えます。
  3. 拡張工事では、正門、18の通常門、2つの地下門(新設)の増設が行われました。それ以前は、正門3門、通常門27門でした。
    礼拝の呼びかけを行う7つのミナレット(高い塔)に、同じデザインをもった高さ89メートルのミナレットが2つ増築され、聖モスクのミナレット総数は、9塔になりました。
  4. エスカレーター用の建物が2つ建設されました。個々の建物の面積は、375平方メートルで、それぞれの建物にはエスカレーター2基が据えつけられています。各々の輸送能力は、1時間当り1万5,000人です。これにより、モスクと拡張工事による増築の建物を取り巻くエスカレーター総数は7基になりました。これらは、すべて一階から礼拝者を輸送するために使用されています。また、通常の階段は8つありあます。
  5. マッカの聖モスクは、現在、三階建てです。地下の床から地上までの高さが4.3メートル、一階の高さは9.8メートル、二階の高さが9.64メートル、あります。また、拡張工事によって屋上の床は大理石で張られ、礼拝に使用できるようになりました。
  6. 正門に3つのドームが建設されました。各々の高さは13メートルで、ドームを取り巻くように入り口がつけられています。
  7. モスクの照明には、6,930のシャンデリアと電灯が使われています。
  8. 空調設備が取り入れられました。冷気が一階の上部から吹き出し、柱の周りの上部へ押し出されます。このため、アジュヤード空調センターが建設されました。ここには冷却機と製氷機が設置されていますが、すべて自動制御で管理され、この空調センターは、1万3,500トンの冷却能力をもっています。
  9. お清めの水場としてマサー(巡礼の儀式で394メートルの通路を3往復半する場所の名所)の北側に二階建ての建物が建設されました。総面積は、1万4,000平方メートルで、洗面所トイレが1,440、礼拝のお清め場が1,091設置されています。水飲み場の水道は162本に達しています。また、女性専用のお清めの水場が設けられ、男女が分離されています。
  10. モスクのいたることころにマイクとヘッドフォーンが設置されています。これは、モスク内放送用のもので、拡張工事に合わせて設置され、旧来の放送網が総合されました。
  11. 拡張工事に伴い発電所も2つ建設され、変圧器をそれぞれ3機備えています。各発電所の能力は1.6メガボルトで、予備能力は100%です。

 預言者モスクの拡張

二聖モスクの守護者は、1984年11月2日(イスラム暦1405年サファル月9日)、預言者モスクの拡張プロジェクトの礎石を据えました。翌1985年9月(イスラム暦1406年ムハッラム月6日)、この巨大なプロジェクトが着工されました。同工事を請け負ったのは、サウディアラビアのビン・ラーデン・グループでした。拡張工事は下記の通りです。

 

  1. 預言者モスクの北側、東側、西側にモスクと接続する新しい建物が建設されました。総面積は8万2,000平方メートル、礼拝者収容能力は15万人に達しました。
    モスクの一階総床面積は9万8,500平方メートル、礼拝者収容能力は、18万人に達しました。屋上を利用して礼拝のスペースを拡張しました。総面積は6万7,000平方メートル、礼拝者収容能力は9万人です。
    この結果、預言者モスクでは27万人を越える人々が礼拝できるようになり、総床面積は、16万5,500平方メートルに達しました。
    また、一階の拡張工事に合わせて、地下の階も建設されました。これは空調施設など、その他のサービスに利用されています。
  2. 7つの正門が建設されました。「ファハド・ビン・アブドルアジーズ門」は、拡張工事で建設された建物の正門であり、ユニークな形の7つのドームを備えています。どの門にも7つの扉があり、そのうち、5つの扉が隣接して設置され、残り2つの扉が側面に設置されています。門はこれらの他に、南側にさらに2つあり、隣接する扉が3つあります。さらに、10の側面の扉と12の扉が拡張した屋上へのエスカレーターの出入り口にあります。加えて18の階段があります。エスカレーターの建物が6つあり、24のエスカレーターが稼動しています。
  3. 新しいミナレットが6塔建設されました。各々の高さは105メートルで、これは、第1期拡張工事の時点ですでに存在していたミナレットより33メートル高いものです。現在、ミナレットの総数は、10塔に達しています。
  4. モスクに27の開閉式屋根のドームが建設されました。各々の重さは80トンで、324平方メートルを占め、拡張された屋上階の上に特別の鉄の滑り軌道が設置されました。これは電動制御で開閉します。これにより好天に恵まれたときには自然の空気を取り入れることができるようになりました。
  5. モスクの周囲を、熱反射の大理石と花崗岩を用いてイスラム建築様式による様々な色とデザインで舗装しました。この面積は、23万5,000平方メートルに達しました。これは礼拝に使われ、43万人の礼拝者を収容することができます。モスク及びモスク周囲を合わせた礼拝収容能力は70万人ですが、巡礼の季節には礼拝者は100万人を越えます。
  6. モスクの入り口には、お清めの場が6,800ヵ所あります。洗面所は2,500ヵ所、水飲み場に冷たい水を運ぶ水道は560あります。地下には2層式の駐車場があり、4,000台の車輛を収容することができます。駐車場には移動監視カメラと固定監視カメラが設置され、中央監視室と接続されています。これは、自動車の動きをスムーズにさせるためのシステムです。

二聖モスクの守護者は、1994年4月16日(イスラム暦1414年ズゥル・カアダ月5日)、預言者モスクのさらなる拡張プロジェクトの礎石を据えました。預言者モスクは、かつてない程の豊かさの上に光り輝く真珠のような輝きを増すことでしょう。