アブドッラー皇太子殿下の訪日

アブドッラー皇太子殿下を迎えられる徳仁皇太子殿下ご夫妻。右端はサウード外相(東宮御所、10月22日)(P.163-1)

小渕総理と会談するアブドッラー皇太子殿下(迎賓館、10月21日)(P.163-2)

共同声明に署名するアブドッラー皇太子殿下と小渕総理(迎賓館、10月21日)(P.164-1)

12階建の新サウディアラビア王国大使館)(P.165-1)(P.160-1)

新大使館の除幕をするアブドッラー皇太子殿下)(P.165-2)

サウディアラビアのアブドッラー皇太子殿下が1998年10月21日から23日まで、日本を公式訪問された。

アブドッラー皇太子殿下は明仁天皇陛下、徳仁皇太子殿下と親しく会談され、サウード王室と日本国皇室との絆をさらに強化される一方、両国間の幅広い協力関係確立のため、日サ間の協力共同声明に小渕総理とともに署名された。また、同殿下は22日夜、在日新サウディアラビア大使館の除幕式に臨まれ、開館を祝福された。1958年に初めてサウディアラビア大使館が東京に開設されてから1998年でちょうど40周年を迎えたが、その記念すべき年に新大使館が開館されたのである。

アブドッラー皇太子殿下の歴史的な訪日と新大使館の開館は、日サ協力関係拡大への新たなスタートであり、21世紀に向けた包括的パートナーシップ構築への幕開けと言えるだろう。外務省中近東第2課長、野田仁氏のアブドッラー皇太子殿下ご訪日記(日・サ協会会報No.199号より抜粋)を紹介し、その様子を報告する。

アブドッラー皇太子殿下の訪問は、サウディアラビアからの元首級の要人訪日としては1971年の故ファイサル第3代国王訪日以来のものです。同国の皇太子殿下として、また、アブドッラー皇太子殿下自身としても、初めての訪日でした。

本邦到着時には、空港送迎に我が国皇太子殿下があたられた他、橋本内閣総理大臣外交最高顧問も出迎えにあたられました。その後、迎賓館にて小渕総理大臣との会談が行われ、引き続き各種文書への署名式がとり行われました。署名は、「日本とサウディアラビアとの間の21世紀に向けた協力に関する共同声明」に小渕総理大臣とアブドッラー皇太子殿下が、「日本・サウディアラビア協力アジェンダ」、「自動車技術訓練所に関する日本・サウディ協力」、「日本国政府及びサウディアラビア王国政府間青年・スポーツ・文化分野における協力」の各文書に両国関係閣僚が、それぞれ行いました。更に、席上、日本・サウディアラビア王国間のサッカーチーム交流についての発表がなされました。

これらの文書の中で、特に「共同声明」は、両国の今後の協力を包括的に取り上げたものであり、21世紀に向けた二国間の政治的な協力の方向性を明確に示す内容のものであって、今回のアブドッラー皇太子殿下訪日の大きな成果と言えます。また、同様に両国外相等の間で署名がなされた日サ協力アジェンダも、昨年11月の橋本総理のサウディ訪問以来両国政府の間で関連の作業が推進されてきたものであり、これまで協力の行われていなかった分野、あるいは協力の拡大が求められている分野について、今後の具体的協力の姿を示した、画期的な報告書が作成されました。

言うまでもなく、サウディアラビアは、我が国にとってエネルギー面を中心に極めて重要なパートナーです。それにもかかわらず、これまでは、相互の間の人的往来、相互理解、相互協力が幅広く行われてきたとは必ずしも言えない状態にありました。それが、要人往来のみをとっても、昨年以来飛躍的に活発化してきています。今回のアブドッラー皇太子殿下の訪日は、これら要人往来のハイライトとも言うべきものでした。

アブドッラー皇太子殿下の訪日は、我が国皇室・サウディ王室間の関係強化の面でも、意義のたいへん大きな訪問となりました。特に、天皇・皇后両陛下は皇太子・同妃両殿下であられた81年にサウディアラビアを御訪問されており、皇太子・同妃両殿下も94年に同国を御訪問されておりましたので、アブドッラー皇太子殿下御本人も再会を非常に喜ばれておりました。

転載:「アブドルアジーズ王の生涯」
日本サウディアラビア協会出版