日・サ両国要人の交流‐ファイサル国王の訪日

昭和天皇とファイサル国王(東京、1971年、5月)(P.157-1)

両国大使館の開設後、1960年代から両国間の要人交流が徐々に活発化してきた。特に1973年の石油危機以降、両国要人の相互訪問が盛んになっている。その要人交流の中で特筆すべきものは次の通りである。

日サ両国関係を大きく前進させた1971年のファイサル国王訪日を日本政府が正式に要請したのは、1966年2月に川島自民党副総裁が訪サし、ファイサル国王に謁見した際、佐藤総理からの親書を手交した時であった。

ファイサル国王離日の際に発表された両国共同声明は次の通りである。

  1.  サウディアラビア王国ファイサル・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード国王陛下は日本国政府の招待により1971年5月20日から25日まで日本を公式訪問された。
  2.  国王陛下は滞日中日本国政府および国民の暖かい歓迎を受けられ、また皇居において暖かい歓迎のうちに天皇陛下と極めて友好的かつ誠意にあふれた雰囲気でお話し合いを行われた。国王陛下は東京及びその近郊の産業施設を視察されるとともに、多くの日本財界の指導的代表者と会われ、日本の産業、経済および社会の実情に親しく接する機会を得られた。
  3.  国王陛下は佐藤総理大臣および愛知外務大臣をそれぞれ接見し、会談された。右会談において国王陛下、総理大臣および外務大臣は、双方の代表団を交えて国際情勢および相互に関心のある諸問題にについて意見を交換された。
    国王陛下、総理大臣および外務大臣は国際情勢に関する話し合いの中で、日本およびサウディアラビアが国際問題の解決のために武力を行使することに反対であること、およびすべての問題は正義と公正の基礎に立ち、平和的手段で解決されるべきである旨表明し、如何なる侵略もその報酬を得るべきでないことを確認した。
    国王陛下、総理大臣および外務大臣は両国が民族平等の原則の尊重を基礎として世界平和を促進し、かつ、国際協力を発展させるために相互に協力を続けるべきことに合意した。また、国王陛下はパレスティナ問題とシオニストの拡張政策の結果、パレスティナ人民が蒙った不正と困難についてのアラブの立場を全般的に説明した。
    佐藤総理大臣は1967年11月22日の国連安保理決議に従って、中東にできるだけ早く公正かつ永続的な平和がもたらされることを希望した。また総理大臣は、平和と安定が世界のこの問題の地域にもたらされるためにパレスティナ問題が正義と公正の基礎の上に解決されるべきこと、および当該民族が正当な権利を享受すべきであるとの考えを述べた。
  4. 佐藤総理大臣は、ファイサル国王陛下の偉大な指導の下にサウディアラビア国王が国家建設において目覚しい進歩をとげていることを繰り返し賞賛した。佐藤総理大臣はまたファイサル国王陛下がイスラーム共同体の指導者としてイスラームの連帯の促進と正義と自由の昴揚に努力されていることに対し、非常な敬意の念を示した。
  5. 国王陛下および総理大臣は、両国関係の話し合いの中で経済及び技術の分野における一層緊密な協力の樹立が両国の伝統的友好関係を強化する重要な要素となるであろうことを確認した。国王陛下および総理大臣は、両国の経済的社会的発展を達成するための経済技術協力がもたらす相互の利益を考慮して、右協力の実現に一層努力することに合意した。
  6. 国王陛下は滞日中、陛下および随員一行に示された暖かい歓迎と厚遇に対し、日本国の皇室、政府及び国民への深い感謝の意を表明された。
  7. 国王陛下は天皇陛下にサウディアラビア王国を訪問されるよう招待された。天皇陛下はこの招待に深甚なる謝意を表明された。
  8. 国王陛下の訪日は日本とサウディアラビアの友好関係の強化に大いに貢献した。

転載:「アブドルアジーズ王の生涯」
日本サウディアラビア協会出版