日本・サウディ関係の現状

サウジアラビア王国日本との関係

日本はアメリカに次ぐ世界で二番目に重要なサウジアラビアの貿易相手国である。二国間の取引総額は、1998年に111億ドルへと減少するまで伸び続け、ピークを迎えた1997年には150億ドル近くにのぼった。この減退は主に、石油価格の暴落にともなうサウジアラビアからの輸出総額が、97年の119億ドルから98年の72億ドルへと落ち込んだことによるものであるが、1999年には84億ドルに回復し、2000年はさらにそれを大幅に上回るものとなった。強大な石油輸出を誇るサウジアラビアと、エネルギーの輸入を必要とする日本という両国の関係により、貿易バランスは常にサウジアラビア側に優勢で行われてきた。

日本・サウジアラビア間貿易支出 (単位100万ドル)

1995 1996 1997 1998 1999
サウジアラビアへの輸出 2,704 3,010 3,072 3,992 3,323
サウジアラビアからの輸入 9,718 10,672 11,886 7,176 8,394
貿易収支 -7,014 -7,662 -8,814 -3,184 -5,071
取引総額 12,422 13,682 14,958 11,168 11,717

(出所: IMF Direction of Trade Statistics)

日本の中東からの原油輸入依存度は、供給源の分散化を目指す長期政策にもかかわらず、1972年以来、現在最も高いレベルに達している。さらに、このような日本の中東への大幅な依存は、アジア諸国の原油輸出衰退にともない、今後も次第に増加していくものと予想されている。

サウジアラビアは、UAE(アラブ首長国連邦)に続く日本の重要な石油供給国であり、1999年には日本の石油一日当たりの総輸入量、428万バレルのうち、18.8%にあたる80万6千バレルが同国から供給された。これはそれぞれ、1997年に占めた割合の22.1%、1998年の21%より低いものであるが、2000年最初の3ヶ月の輸入量は21.4.%に回復し、日本市場におけるサウジアラビアの占める割合は再び上昇した。また、日本においてサウジアラビアは韓国に次ぐ、第二の石油製品(主にナフサと液化石油ガス(LPG))輸出国でもある。

下記の表は日本がサウジアラビアから相当量のエネルギー需要を賄っていることを示すものである。1994年から2000年の間では、日本の原油、液化天然ガス、精製供給原料総輸入量の19.2%から21.2%がサウジアラビアからのものであることがわかる。さらに、この期間の日本のナフサ総輸入量のうち、9.2%から19.3%も同国からの輸入である。

日本における原油、液化天然ガス、精製供給原料 の輸入(単位1000㎏)

1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000
総輸入量 230,801 227,493 224,513 231,377 216,994 213,141 214,202
サウジアラビアからの輸入 44,329 44,186 44,454 51,156 45,641 40,163 45,331
サウジアラビアからの輸入(%) 19.2 19.4 19.8 22.1 21.0 18.8 21.2

(出所:International Enaergy Agency)

日本におけるナフサの輸入(単位1000㎏)

1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000
総輸入量 16,397 20,233 21,044 20,833 19,174 22,091 22,857
サウジアラビアからの輸入 3,181 3,082 3,531 3,278 2,572 3,183 2,111
サウジアラビアからの輸入(%) 19.3 15.2 16.8 15.7 13.4 14.4 9.2

(出所: International Energy Agency)

日本はエネルギー需要の多くをサウジアラビアから輸入しているが、それだけではなく、二国間は、エネルギー分野やその他の領域においても親密な協力関係にある。

1996年5月、池田行彦外務大臣(当時)とサウジアラビアの外務大臣にあたるサウード・アル=ファイサル王子は、政治、経済、技術、そして文化活動を含む全ての分野において、両国のさらなる協力体制を強化促進させる方針を検討し、また、サウジアラビアへの日本の投資を促進させる必要性についても意見を一致させた。

日本によるサウジアラビアへの産業投資と技術移転は、1996年11月に行われた第9回Saudi-Japanese Businessmen’s Dialogue 会議の中で明確に形づくられ、会議の参加者たちは両国の協力関係継続と貿易・投資促進の方針を支持していくことで全員一致した。同じ月、サウジアラビアと日本は、さらに5年の歳月をかけて進められるアブドゥル・アジ‐ズ国王科学技術都市(King Abdul Aziz City of Science and Technology (KACST))と、石油産業活性化センター(Petroleum Energy Center of Japan (PEC))の共同研究開発プログラムに乗り出し、石油精製事業における両国の協力を一層拡大させていくことで合意した。この合意により、石油ガス採掘の開発を進める共同研究もカバーすることとなった。

サウジアラビアと日本政府による技術協力協定 (Technical Co-operation Agreement)のもと、日本は過去3年間に950人以上の政府役員や職員の指導にあたり、成功を収めてきた。日本とその他の国々の間における技術援助計画を監視する、国際協力事業団(JICA)の和田康彦氏は、日本で行われた技術訓練で両国の友好関係はより深まったとし、さらに多くのサウジアラビア政府職員が多岐にわたる分野の技術習得を目指し来日し、また日本の専門家がサウジアラビアでさまざまな訓練プログラムを支援していくと述べた。

1996年終わりに近づくと、日本はサウジアラビアの水資源を開発する高等技術の移転に合意し、家事で使用する家庭水、農業用水の浪費を改善する大規模な研究開発プロジェクトに4000万ドルを充当することとなった。このプロジェクトはサウジアラビアの研究機関の協力のもと、5年間かけて進められる予定であると発表された。

現在日本は、サウジアラビアで33の共同ベンチャープロジェクトを行っていると報告されており、投資総額は58億ドルになる。2000年5月には、サウジアラビア企業と日本企業による4900万ドルをかけた織物工業の合併事業を完成させた。また日本のサウジアラビア大使、大島正太郎氏によれば、その他多くの共同ベンチャー事業についても話し合いがもたれているという。6月には、日本から二つの代表団が派遣され、発電と廃棄物管理における事業機会を検討した。さらに日本の住友商事では、サウジアラビアの水資源事業に巨額の投資を予定している。

展望

日本がサウジアラビアへの投資を計画する上で最も大きな障害となる問題が二つあったが、それらは現在解決されつつある。まず第一に、日本の投資家に、海外事業の着手を躊躇させてきた不況が終息にむかっているということ。第二に、サウジアラビア政府が従来の投資環境の見直しに取り組んでいるということである。2000年4月、サウジ政府は、100%の外国資本を許可(外国資本出資制限の撤廃)、資本利益の海外送金を保証、多岐部門への投資拡大、外資への内国待遇の適用などの政策を盛り込んだ新外国投資法を発表した。

同時に、この法案により、サウジアラビアにおける外国投資を監理し、より細かな投資規定を展開させていく投資庁(General Investment Afuthority (GIA))が設立された。また、労働、知的所有権、資本市場、保険業の領域を扱う商業法のより大幅な改正にも取り組んでおり、さらには電気・通信部門における民営化も大々的に推進されることとなった。

日本の投資家たちは、これらの経済構造改革を間近で見ることとなるのは確かだが、新投資案が成果を表すには今しばらく時間がかかるであろう。

それにもかかわらず、サウジアラビアによる外資開放政策と日本の景気回復によって、今後数年間、日本からの大幅な投資の増加が期待されている。